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【薬害エイズ】互助の心で患者受容する社会に

10月24日付「新潟日報」の『聞く』というコーナーに、はばたき福祉事業団の大平勝美理事長が登場しました。
「HIV問題対策に尽力」ということで、記者とのインタビューが掲載されましたので、ここでご紹介いたします。


かつては死の病とされていたエイズ。
今日では感染しても、適切な治療を受ければ、病気をコントロールしながら日常生活を送ることが可能になった。
半面、感染者の就労や高齢化した患者のケアなどが新たな課題として浮上している。
薬害エイズウイルス(HIV)東京訴訟の原告だった大平勝美さん(60歳)=東京都=は、社会福祉法人「はばたき福祉事業団」理事長として、薬害被害者らの支援に取り組んできた。
HIV問題対策には何が必要なのか。(編集委員・森沢真理)

■はばたき福祉事業団は、薬害エイズ事件を経て生まれたのですね。

東京訴訟の和解後。1997年に設立しました。被害者自らが中心となり、医療や福祉、社会生活の向上など、救済活動に取り組む団体です。
薬害以外の感染者、患者の相談、支援や教育活動も行っています。
本当は、厚生労働省などがきめ細かな恒久対策に取り組んでくれればいいのですが。

■国内でエイズ患者第1号が報告されたのが85年。
ご自身も血友病患者が使う血液製剤でHIVに感染された。

人生が崩壊するような感じでした。
不動産関係の仕事をしていたのですが、病気で悪い評判がたったからとても続けられない。
家庭はどうなるのか、と。
一番悲しかったのは医療機関の診療拒否です。
血友病の薬を受け取りにいこうとすると「ご家族が来てください」といわれる。
HIVの治療法もない、診てくれる医療機関を探して走り回り、引き受けてくれたのが新潟出身の島田肇・東京大医科学研究所教授(当時)でした。

■薬害HIV東京訴訟に原告として参加し、国の責任を追及したのですね。
裁判はどんな成果を?

医療体制が構築されたことですね。
エイズ治療・研究開発センター(ACC)を頂点に、各地で拠点病院が整備された。身体障害者の認定も受けられるようになった。
この20数年で治療法は劇的に進歩し、HIVは死の病から慢性疾患に変わりました。
今後は、患者参加型のチームー医療を徹底させること、医療の地方格差をなくしていくことが課題です。

■生涯付き合う病気となったことで、新たな悩みが出てきたと聞きます。

HIVは感染力が非常に弱い。職場で普通に働いていて、周囲に感染することはまずありません。
投薬でウイルスを抑え、定期的に病院で検査を受ければ仕事は続けられます。
だがエイズへの偏見、差別は根強く、就労は難しい。
患者が高齢化し、介護が必要なのに施設が受け入れてくれないというケースも出ています。

■一方で感染は増え続けている。
厚生労働省によれば85年に集計を始めた感染者、患者は1万5,000人超と過去最大です。

大半は男性で同性間の性的接触による感染が多い。
年代別では30代が多いが、年配の人は相談できずに悩むケースが目立つ。
同性から感染したことで家族ショックを受け、家族関係が悪化するケースもあります。
だが薬害だろうと性的な接触で感染しようと、病気で苦しんでいることは同じ。
私たちはそうした立場で活動し、家族の相談にも乗っています。

■HIV対策には何が必要なのでしょう。

社会の許容量が上がることが第一です。
ペスト大流行の歴史を持つヨーロッパでは、感染症とは起きるもの、発生したら互いに助け合おうという精神が生きています。
日本では感染者は予防、排除の対象になりがち。
患者の側も努力が必要です。
ぐちをこぼしたり、一方的に権利を主張したりするだけでは周りの理解を得られません。
支援に感謝しながら、自分の意見をきちんと伝え、道を切り開いていくことが重要です。

○インタビューを終えて

「HIVに感染した仲間がたくさん亡くなった。私自身、この年齢まで元気でいられるとは思いませんでした」。
淡々とした口調に、病と闘ってきた年月がにじむ。
感染の告知を受け、絶望していた大平さん救ったのは、妻の一言だったという。
「どんなに悪い病気になっても生き残ってきた人はいる。頑張ろうよ」
闘病生活だけでも大変なのに、差別のまなざしを注がれたらどんなにつらいか。
だれでも感染症にかかる可能性はある。
正しい知識を持つことから始めたい。


平成21年10月24日 「新潟日報」より

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