トップページ > 薬害エイズ > 薬害エイズTOPICS
【薬害エイズ】患者のエイズ感染の心配・不安の訴えを無視し続けた厚生省元課長
薬害エイズ刑事裁判、最高裁で有罪確定

薬害エイズ事件で、米国を中心にはやり始めたエイズに、血友病患者は治療に用いる濃縮凝固因子血液製剤から感染する危険があるとの情報が世界を流れ、日本では血友病患者以外のリスク対象者が当時いなかったため、血友病=エイズとの差別が83年から始まった。

83年夏に血友病患者団体は厚生省に、エイズ感染リスクのない安全な製剤の供給を要望した。

特に85年は年明けから血友病患者の死が報道され、次々にエイズを発症して死んでゆく現実が社会に知らされていった。

エイズ感染リスクの強い米国由来の売血によってつくられた非加熱濃縮製剤を早く止め、安全な製剤の供給(日本の献血血液や加熱処理した製剤の緊急導入など)と感染リスクのある製剤の回収を要望した。

85年当時の厚生省の担当課である生物製剤課で、松村明仁課長が直接会って患者の要望を聞いた。

しかし、血友病患者の被害や血友病専門医の対応など初めて聞くとか、世界の血友病患者の被害状況やこうした問題が議論されていることを言ってもそういう会議の内容は知りませんでしたと、全く他人ごとだった。

不凍液入りの(いわゆる毒入りワイン事件)輸入ワインの回収騒ぎでは、小さな酒店という末端まで大きな新聞広告で回収に懸命になる厚生省の対応と比較しての言及にも、国民全体の問題で特定の患者の問題とは違うとエイズ汚染を否定してみたり肯定してみたり、当事者がすぐそばで命の危険に直面している事実を伝えるのに、あまりに冷たくまともに取り合う姿勢のない対応に何回行っても怒りを感じた。

最後に異動する前に会った時手渡されたのは、東洋人は感染リスクが少ない・人種間でリスクが異なるという、既に素人でも非科学的情報とわかる1枚の記事だった。
汚染はないと言い放ったり、血友病患者を見捨てた見解など、役人としても世界的問題となっている事件に日本の血友病患者も巻き込まれ、既に二桁の死亡者が出ている緊急事態に極めて突き放した態度であった。

厚生省の窓口でもあり、実質リスク回避の責任者のこうした対応が、日本で初の役人の不作為としての刑事責任が問われて当然と思っている。
現に私も当時の松村被告に対する刑事事件での資料提供や証言もした。
直接訴えをした者は、専門家の意見ばかりが反映されて被害者・患者の意見が無視されがちな裁判の問題や、彼の有罪確定を患者軽視の行政に大きな警鐘が出たと評価したい。

今も、生物製剤課で直接言い合った時や、故安部英帝京大学教授とともに全国血友病友の会拡大理事会に出席し、被害発生を認めた前提での消極的対応を口数少なく発言した緊張した顔をいつも思い出す。
患者は誠実な対応のない行政・医療者・製薬会社のことは決して忘れないものだ。

3月11日、薬害エイズ事件で業務上過失致死罪に問われた元厚生省生物製剤課長の松村明仁被告(66歳)の上告を棄却した最高裁の決定(3月4日)に、期間内に異議申し立てを行わなかったため、禁固1年執行猶予2年の有罪判決が確定した。

平成20年3月12日 はばたき福祉事業団理事長 大平勝美


【薬害エイズ有罪-市民の命を守る重さ】
薬害を防ぐ責任は、第一に製薬会社や医師にある。
国の監督権限は二次的なものだから、怠慢があってもただちに公務員個人に刑事責任は生まれない。
しかし、薬害エイズのように重大な危機が迫ったときは別だ―。

最高裁はこのように述べ、薬害エイズ事件で業務上過失致死罪に問われた元厚生省課長を、禁固1年・執行猶予2年とした高裁判決を支持した。
公務員の職務怠慢を理由に、国や地方自治体が民事裁判で賠償を命じられることはあるが、担当の公務員個人が刑事罰を受けるのはこれが初めてとなる。

元課長は血液製剤の製造・輸入を承認する責任者だった。
それなのに、エイズウイルスに汚染された血液製剤の回収を命じるといった措置を怠ったため、病院で投与された患者1人がエイズに感染して死亡した。
罪の対象となった被害者は1人だが、一審判決が「我が国の極めて広い範囲に危険を発生させていた」と認定したように、実際の影響ははるかに大きいものがあったはずだ。

それを考えれば、今回の最高裁の判断は納得できる。

無罪を主張した元課長は「自分には個人の刑事責任が問われるほどの義務はなかった」と反論していた。
これに対して、最高裁は「汚染された血液製剤について、国が販売中止などの明確な指針を示さなければ、安易な販売や使用が行われる恐れがあった。
そうした状況では、防止のために十分な措置をとる義務がある 」と退けた。

平成20年3月6日付「朝日新聞」社説から」

▲このページ [ 【薬害エイズ】患者のエイズ感染の心配・不安の訴えを無視し続けた厚生省元課長
薬害エイズ刑事裁判、最高裁で有罪確定 ] の先頭へ

▲1つ前のページに戻る
▲トップページへ戻る