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【HIV・薬害AIDS】処方せんの扱い、歯科診療通院について、アンケート調査結果から

背景:HIV/AIDS患者の社会参加を進める上で、生活者視点から医療で自立支援が具体化した姿になっているのか、通院にかかる時間が診療や薬局でもっと短くする方策があるのではないかとヒントを得ることも視野に入れ、医薬分業化での薬局の利便性や地元歯科医院の利用現状を調べた。

対象:(社福)はばたき福祉事業団から連絡可能な被害患者(主に東京HIV訴訟原告被害者など)、400人に書面によるアンケート調査。
104人から回答を得た(回収率26%)。

調査期間:9月5日~9月30日

対象区域:北海道から沖縄まで。
回答者地域、北海道(10人)、東北(8人)、関東・甲信越(57人)、東海(7人)、北陸(1人)、近畿(2人)、九州・沖縄(18人)、無記入(1人)

1)「院内・院外処方せん利用と、薬の持ち帰り方法について」
処方薬について医薬分業が進んでいる中で、医薬分業の効果として患者にとって安全・信頼・サービスを含む利便性が患者重視の視点で行われているか調査した。特に薬害エイズ被害者は血友病患者等血液凝固異常症の患者は、凝固因子製剤を自己注射(家庭注射)治療を行っている患者が多いため、凝固因子製剤の処方せん扱いや処方薬の持ち帰り方法、そして抗HIV薬も含めて患者への負担についてアンケートで重視した。

結果
○通院頻度
月1回(70人)、月2~3回(33人)、無記入(1人)
〈症状や治療が安定している患者で、月2~3回と通院間隔が広がる傾向にある。
薬の処方も、2~3か月分となり、持ち帰る量も多い〉

○通院治療について
診察・治療のみ(8人)、診察・治療・薬剤処方(93人)、その他(1人)、無記入(2人)

○処方箋の院内・院外選択について

主治医の院内処方箋交付(44人)、主治医の院外処方箋交付(32人)、患者の選択(18人)、その他(4人)、無記入(6人)
〈国立病院や国立病院機構系、大学病院、また開業医では血液凝固因子製剤・抗HIV薬も含め院外処方が進んでいる。一応、患者の選択が重視もされている〉

○処方薬の受取方法
院内薬局での受取(64人)、院外薬局で受取(34人)、無記入(8人)
〈実際に処方箋をもって行くのは、院外は33%弱〉

○院外処方箋利用について(34人対象者から:重複1人あり)
病院の方針(14人)、病院の近くにある(11人)、薬局が近い(5人)、待ち時間が短い(2人)、その他(1人)、無記入(2人)
〈利便性などを考えると、病院や住んでいる地域の近くにある薬局、また待ち時間の短さが53%を占めている〉

○処方薬の持ち帰り方法
院内:手荷物(12人)、自分の車(46人)、郵便・宅配便(3人)、タクシー等(3人)、その他(3人)、無記入(1人)
院外:手荷物(12人)、自分の車(17人)、郵便・宅配便(3人)、その他(2人)、無記入(2人)
〈手荷物で持ち帰る人が23%と意外と多い。
電車・バスなどを利用して通院する人もあり、関節障害などから負担が軽減できる配慮が必要。
実際に、院外薬局に処方箋を出して、薬を宅配で届けてもらうシステムもある。
薬局での長い待ち時間と持ち帰りの負担の両方が軽減できる〉

○処方薬持ち帰りで郵便・宅配利用の理由(6人回答者から)
量が多い・重い(4人)、通院だけで大変(0)、病院の指示・進め(0)、要保冷薬だから(0)、当日の持ち帰りが困難(0)、その他(1人)、無記入(1人)

○処方薬持ち帰りで郵便・宅配利用者の宅配等の手配(6人回答者から)
郵便局・宅配窓口に持ち込み(1人)、病院が宅配便を手配(0)、院外薬局が宅配便を手配(4人)、その他(1人)

○処方薬持ち帰りで郵便・宅配利用希望について
すでに利用している(8人)、利用したい(8人)、利用したくない(30人)
必要に応じて利用希望(32人)

○意見から
「製剤の持ち帰りは、大きくかさばるし、重い」「薬局での受け渡しが目立つ」

○回答者の使用血液凝固因子製剤の種類(104人回答者から 重複記入あり)
第Ⅷ血液凝固因子製剤:クロスエイトM(日赤・献血製剤 54人)、コージネイト(バイエル・遺伝子組換製剤 14人)、 アドベイト(バクスター・遺伝子組換製剤 14人)、 リコネイト(バクスター・遺伝子組換製剤 1人)、 コンファクト(化血研・献血製剤 3人)、その他の第Ⅷ因子製剤(3人)
第Ⅸ血液凝固因子製剤:(献血製剤 13人)
第Ⅶ血液凝固因子製剤・インヒビター製剤:ノボセブン(ノボ・遺伝子組換製剤 1人)、インヒビター製剤(輸入血液製剤 1人)
無記入:13人

※被害者が対象とするためか、第Ⅷ因子製剤は献血由来で、国策で日赤が作っているクロスエイト使用者や同じく献血由来の化血研によるコンファクト使用者が64%と多い。

第Ⅸ因子製剤と合わせると、献血由来製剤使用者は、67%を占める。

血友病患者全体では、第Ⅷ因子製剤は献血由来製品が30%位に落ち込んでいる。

今回の調査では、被害者が使用する第Ⅷ因子製剤は、薬害エイズ被害の教訓から献血血液による国内自給や、献血の大切さが浸透しているため献血由来製剤使用者が多かったと考えられる。

今後も、過去のコージネイト供給停止による混乱が生じた経験から、海外メーカーにおける事故などからの供給停止等に備え、献血由来の製剤を大事にしてゆくキャンペーンをしていくことが大切である。

また、特殊なインヒビター治療製剤についても、国産化や国内製造で安定供給を図ることを希望する

2)「歯科治療の受診について」
医療においてHIV/AIDS患者にとって受診で一番嫌な思いをし続けているのは歯科診療場面。
生活場面で一番身近な診療施設の歯科医院が、医療差別・偏見がなく受診できる体制を患者は強く望んでいる。
歯科受診のたびに拠点病院など大病院に半日がかりで通院するする近隣の歯科医院で診てもらえれば生活がよりしやすくなることから、過去に多発した診療差別の現状や歯科医院利用について重視した。

結果
○現在の主な歯科診療機関
近所・近隣の歯科医院(26人)、拠点病院(32人)、ブロック拠点病院(17人)、エイズ治療・研究開発センター(国立国際医療センター)(13人)、その他地元の病院(8人)、無治療(3人)、無記入(5人)
北海道:近所の歯科医院(1人)、ブロック拠点病院(7人)、その他地元の病院(2人)
東北:近所の歯科医院(2人)、拠点病院(2人)、無治療(1人)、無記入(2人)
関東・甲信越:近所の歯科医院(18人)、拠点病院(18人)、ブロック拠点病院(2人)、エイズ治療・研究開発センターACC(国立国際医療センター)(13人)、その他地元の病院(4人)、無記入(2人)
東海:近所の歯科医院(1人)、拠点病院(1人)、ブロック拠点病院(3人)、その他地元の病院(1人)
北陸:地元の病院(1人)
近畿:近所の歯科医院(1人)、ブロック拠点病院(1人)
九州・沖縄:近所の歯科医院(1人)、拠点病院(11人)、ブロック拠点病院(4人)、無治療(1人)、無記入(1人)
地域不明:近所の歯科医院(2人)

※近所の歯科医院に通っている人が104人中26人(25%)になる。
特に、関東・甲信越18人中、首都圏が大多数を占める。
歯科診療(歯科医院)の紹介ネットワークが整備され、着実に家の近くの歯科医院で診れるようになってきた。

○歯科診療を受ける病院にはHIV感染者と告げてあるか
はい (41人)
自分から言った(11人)、紹介病院から連絡(21人)、院内歯科だから(3人)、子供の時から/前から知っていた(5人)、その他(1人)、いいえ(4人)
告げない理由:HIV感染者と知られたくないため(3人)、無記入(59人)
※HIV医療体制が整備され、病院内の連携や他の病院への紹介が、患者に不安がないよう配慮しながら行われているのか診療現場ではHIV感染を認識して診療している。
一方、診療現場でHIV感染者と知られたくないなどから、自分の健康状態を告げずに治療を受けている人もいる。
また、意見欄の中で、歯科診療をずっと受けていない人の中に、差別不安から受診を控えていることも考えられる。
首都圏ではACCの診療支援室や医療情報室がもっと機能して、ネットワークを充実させて不安のない地域医療を作る手本を示す必要がある。

○歯科診療の医院・病院の通院所要時間
近所・近隣の歯科医院:15分以内(14)、30分以内(2)、60分以内(4)、90分以内(1)拠点病院:15分以内(2)、30分以内(10)、60分以内(10)、90分以内(4)、120分以内(1)、無記入(2)
ブロック拠点病院:15分以内(1)、30分以内(3)、60分以内(9)、90分以内(1)、180分以内(1)、240分以内(1)、無記入(1)
地元の病院:30分以内(3)、60分以内(1)、90分以内(2)、240分以内(1)
ACC/国立国際医療センター:30分以内(1)、60分以内(4)、90分以内(3)、120分以内(1)、180分以内(2)、無記入(2)

※15分以内では近所の歯科医院が82%。~30分以内で48%と負担のない所要時間となる。
土日や夕方から夜間診療をしている点を考えると、拠点病院のような大きな病院で診続ける方策から早く患者の生活範囲で至便なものは必要とされる。

○歯科診療の医院・病院へ行くための主な交通手段
徒歩(7)、自転車(1)、バイク(1)、バス(2)、電車(19)、タクシー(1)、自家用車(51)
通院時間5分以内:徒歩(2)、自転車(1)、自家用車(10人) 
同15分以内:徒歩(4)、バイク(1)、自家用車(1)  
同30分以内:バス(2)、電車(2)、自家用車(16)
同60分以内:徒歩(1)、電車(9)、自家用車(16)、タクシー(1)  
同90分以内:電車(5)、自家用車(5)  
同120分以内:電車(1)、自家用車(1)  
同180分以内:電車(2)、自家用車(1)  
同210分以内:自家用車(1) 

○これまで歯科診療でHIV感染を理由に治療を拒否された経験
診療拒否経験ありと回答(11人)

「10年ほど前、東京の歯科大学で、嫌な顔をされた」

「5~6年前、院長が変わって拠点病院ができたからこれからは、HIV患者は見ないと言われた。通っている間、厄介な患者扱いで、胃カメラとか検査を全然してくれなかった(東北)」

「10年前、紹介された大学病院の口腔外科などで、口の中をのぞく程度で、やんわり専門病院を勧められた。しょうがなく国立の歯科大に行ったが、あまりの厳重な感染管理であきれて何回か通ったが行くのをやめた(東京)」

「10年前くらい、病気を告げて通院した。それも普通の診療時間内でなく一般診療が終わった後。いざ診察となると、医者の武者姿に衣替えし、医師は他の患者にも同じ予防衣だからと説明したが明らかに違うのが明白な姿。こんなにガードしているとHIVの感染力はそんなに強いのかと患者自身も不安と恐怖を感じた。うんざりし、それからは殆どの歯科はB型肝炎対策もできているという認識で、わざわざ病気を告げて不快な思いをしなくてもいいんじゃないかと思うようになった。医療従事者だからと言って偏見・差別をもっていないとは限らないことを知った(東京)」

「以前、日赤の病院を受診して、診察は最後で、椅子に不織布で被い、とても嫌な気分だった(関東)」

「5年前、定期健診だけは仕方なくやってくれたが、担当医がコロコロ変わり、引き継ぎもうまくいっていないためか、対応が悪かった(関東)」

○歯科診療で困った点など
「大学病院の歯科での治療。この病院では、小手術室の予約が取れていないと診てくれない(九州)」
「先生がいやがっていないか不安。本当はもっと近所の歯科に行きたい。どこでもかまわない(関東)」
「近くに良い先生がいない(関東)」
「治療できる歯科医師が少なき。今通っている所は車で行きだけで2時間かかる時もある(関東)」
「通院時間が長い。行って、待って、治療を受けて、帰って、昼間の時間が大体潰れてしまう(関東)」
「ひどくなったところしか診ない。歯石とか他の歯も診てもらえない(関東)」
「迷惑掛けたくないのでなかなか行けない(東海)」
「曜日が決まっていて、週に一度しか行けない(九州)」
「発症前にある程度治療を受けていたが、今のところ困っていない。そのうち治療しなければならない状態になったとき、どうしようかと思っている(関東)」
「現在治療をしていません(関東)」
「この15年間歯科治療を受けていない(東北)」
「何十年も歯科にかかっていない(東北)」
「本人が治療を拒否しているので、虫歯になって、出血が続くとしょうがなく通院するが、続かず困っている。訪問治療をしてもらいたい(関東)」

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