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2009年度(社福)はばたき福祉事業団が実施した調査・研究事業に係わる学会・研究報告3
第50回日本社会医学会総会(札幌)学会参加・研究発表報告

平成21年6月27日(土)~28日(日)の日程で、第50回日本社会医学会総会(企画運営委員長 波川京子(札幌医科大学))が、札幌医科大学 臨床講堂(札幌市中央区南1条西17丁目)で開催されました。
メインテーマは「生存権・健康権のルネッサンス」。

(社福)はばたき福祉事業団からは、「いっしょにはたらくBOOK(当事者編・企業編)」にも収録されているエイズ年表と関連した発表を行った。

「いっしょにはたらくBOOK(当事者編・企業編)」とは?
HIV/AIDS患者の社会的自立と就労支援の取り組みの一環として、「いっしょにはたらく」をコンセプトに作成された、パンフレット形式の教育ツール。職域や当事者の生活の場、医療機関等で広く活用されている。当事者編については、厚生労働省障害者保健福祉推進事業(障害者自立支援調査研究プロジェクト)助成により、また、企業編については、独立行政法人福祉医療機構(高齢者・障害者福祉基金)助成により研究・開発された成果物である。これらは、社会全体の協働を視野に入れた、当事者を中心とした協働の取り組みを具体的に広く知ってもらうことにもつながっている。

演題;「HIV/AIDS患者の就労の社会基盤整備と当事者の社会アクションに対する人・職域・社会の反応動向」
演者;○久地井 寿哉(東京大学大学院医学系研究科・(社福)はばたき福祉事業団)、大平 勝美((社福)はばたき福祉事業団)

発表内容のポイント

・HIV/AIDS患者に対して、どのような社会基盤整備が行われてきたのかを海外の動向を踏まえながら歴史的に概観した。
・当事者が、社会に対してどのようなアクションを起こし、どのような反応があったのか
・これまでの社会の反応から、今後どのような方向性が考えられるか
 といった点から報告を行った。

第1のポイントとして、海外に比べ日本のHIV感染者の就労に対する社会基盤整備のための取り組みは約10年も遅れていることが示された。

具体的な例としては、

・アメリカでは、1990年に障害者差別禁止法(ADA法)によりすでにHIV感染者への就労上の差別を禁止する明文の規定があるのに対して、日本では、1998年に障害者福祉法の一部改訂の中で、ようやくHIV感染者は「免疫機能障害」として身体障害者認定を受け、差別・偏見の解消が明文で規定された。

・2001年には、ILOによるHIV/AIDSに関する行動規範・行動原則が打ち出され、HIV/AIDS患者の就労については職場の問題として実践的な労働者対策が明記されているのに対し、日本では、近年においてもHIV/AIDS患者の労働環境・労働条件については十分に分かっていない。HIV/AIDSに関する社会全体の関心も低く、具体的な取り組みも遅れている。また、HIV/AIDSと関連した労働分野での国際的な貢献を日本は果たしていない。

第2のポイントとして、当事者アクションが果たした役割と社会的意義についてまとめた。

・HIV感染者が社会へのパスポートとして、内部疾患の身体障害者手帳の交付を受けることができるようになったのは、薬害エイズ訴訟の和解の恒久対策の一環として定められたものであり、当事者の社会アクションの成果であること。
・当事者団体の要請により、社会全体の協働を視野に、当事者・医療・福祉・法律・行政・企業・支援者という協働の場が設けられ、シンポジウムや各種調査が進められており、疾患のイメージを変える社会的取り組みがあること。

これらは、ともにHIV/AIDS患者の社会的自立と、就労のための社会基盤整備と関連した取組みであることを示した。

第3のポイントとして、第1、第2で述べた議論や、歴史的経緯を踏まえ、今後の方向性として6項目にわたる要件を提案した。

「新たな当事者像の確立」、「新たな協働への取り組み」、「患者の声による新たな支援基盤の確立」、「基礎・臨床・社会という枠組みの連携と患者への対応」、「予防・治療・社会参加という流れ」、「生活の社会モデルの構築」である。

質疑応答

厚生行政にくらべ、労働行政の取り組みの遅れがあるのではないかという指摘がなされた。当事者アクションが社会基盤整備に先行する現状と関連して、他分野の研究者の強い関心が寄せられた。

●当日、学会の配布ブースにおいて「HIV感染患者の就労に関する質問紙調査・インタビュー調査報告書(第一報、第二報)」を配布した。

<関連リンク>
●日本社会医学会
http://ergo.itc.nagoya-u.ac.jp/shakai-igakukai/index.html

これまでの学会報告はこちら
01.第18回日本健康教育学会(東京)(平成21年6月20日(土)~21日(日))
02.第35回日本保健医療社会学会大会(熊本)(平成21年5月16日(土)~17日(日))

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