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HIV患者就労進まず 「障害者雇用の対象」認知度低く 企業側の誤解も壁

エイズウィルス(HIV)患者の就労が進んでいない。
障害者雇用制度の対象となることを知らない患者が多いほか、HIV患者に対する企業の誤解が背景にあるようだ。
支援団体は患者に「制度をうまく生かすことも考えて」と呼びかけるとともに、企業側に正しい知識を持つよう求めている。

HIV患者は「免疫機能障害者」として障害者手帳が交付され、企業の障害者雇用の対象にもなる。
1998?2007年度までの10年間に、手帳を交付された患者は8716人に上がる。
全国には現在、1万5千人のHIV患者がいるとされる。
だが、その就労を支援する「はばたき福祉事業団」によると、障害者手帳交付を受けた上での就労を「知らない患者が多い」という。
また、障害者としてではなく、あくまで一般社員と同様に働くことを希望する患者も多い。

今月5日、東京都内で開かれた就労支援シンポジウムでも、30代の男性患者が「私たちは健常者と同様に働ける。分かってほしい」と訴えた。
同事業団によると、08年度の全国のハローワーク経由の障害者就職件数は約4万4千件で、うちHIV患者は約90人。
厚生労働省の担当者は「毎年数十人単位で徐々に増えつつある」と分析するが、依然として低い水準にある。

民間企業を介した就労も状況は同じ。障害者の就職を支援するゼネラルパートナーズ(東京・中央)に今年新規登録したHIV患者は97人(10月時点)と、登録を始めた06年の35人の約2.7倍だが、実際に採用されたのはまだ10人ほどだ。

同社の進藤均社長が指摘するのは、企業側の誤解だ。薬を飲めば発症を抑えられるほか、健常者と変わらない生活も送れるが、「『感染する』『死亡リスクがある』など誤った考えで敬遠する人事担当者がいまだに多い」と話す。
同社長によると、患者数が多い欧米系などの外資系企業は理解が深く、これまでの同社経由の患者採用例はすべて外資系だった。
HIV患者には就労経験のある患者も多く、「外資系企業は障害に関係なく能力を評価してくれた」という。

はばたき福祉事業団が今夏、官公署・企業・独立行政法人1,000社を対象に実施したアンケート(145社が回答)でも約64・8%が受け入れない理由を「本人の体調不良・体調悪化」と回答。
雇用側の過度の不安感を示した形だ。
同事業団の柿沼章子事務局長は「企業などは正しい知識を持って採用に当たってほしい」と訴えている。

平成21年10月24日付「日本経済新聞(夕刊)」より

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