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【医療者の安全感覚は―】「緊急報告 採血器具使い回し(中) 厚労省通知」

▽医療機関「知らない」、「伝わるはず」島根県は放置
「厚生労働省の通知は知らなかった」。
5月25日、二つの市国民健康保険診療所での採血器具の使い回しが発覚した浜田市の会見。
居並ぶ市の幹部や医師は口をそろえた。
松尾紳次副市長はいら立ちを隠さずまくし立てた。
「必要な情報なら、県から届いていると思った」

医療機関は器具を複数の患者に使用しないよう特段の注意を払うこと―。
2006年3月、厚労省は、針周辺部品が使い捨てでないタイプの採血器具の取扱いについて病院などに注意喚起を図るよう都道府県などに通知した。
だが、使い回し問題発覚後、通知の存在を「知らない」という医療機関が続出した。

▽医師会に一任
通知は、なぜ届かなかったのか。
島根県は薬事衛生課が通知を受けたが、健康福祉部のほかの6課と各保健所長への連絡にとどめた。
当時の担当者はその理由について「記憶にない」という。

「病院へは医師会やメーカーなどからの情報ルートもある。
器具の説明書もあるので分かるだろうと…」。
山根成二部長は担当者の判断を推し量る。
「今となっては、国の情報を伝達しなかったのは極めて遺憾」

通知の取り扱いを巡っては、他の都道府県も概ね似た状況だ。
島根県以外の中国地方4県で、通知を46の病院に直接、ファックスしたのは鳥取県だけ。
しかし、病院以外の診療所レベルはほかの3県同様、医師会に周知を任せた。
その医師会も島根県では医師会ニュースへの掲載だけだ。

病院・診療所が計1800ある岡山県は「個別に通知するには限界がある。
各関係団体にお願いするのが一般的だ」と説明する。

こうした状況に厚労省は「注意喚起を図る方法は各都道府県の判断」との見解を示す。

軽んじられたといえる厚労省通知に、日本肝臓病患者団体協議会(東京)の西村慎太郎常任幹事は「感染の可能性が低い、と漫然に動いた」と推測する。
そして一連の使い回し問題で終始、後手に回った島根県の対応も批判した。

▽名前を伏せる
島根県は、問題の発端となった益田日野診療所「おちハートクリニック」の使い回しは把握から公表まで3週間あまりもかかった。
初めて事案を公表した5月21日、「不特定多数への被害拡大は予想されない」などとして当初、診療所名を伏せた。
さらに、同クリニックで昨年3月の開院時から別の器具を不適正使用していた報告なども、益田保健所から本庁に届いていない失態も演じた。

その後の調査で、器具を使い回していた医療機関は県内57機関に拡大。
採血の針自体を使い回した「おちハートクリニック」は「別次元の話」(県幹部)と話すなど、発覚当初にじんでいた島根県の余裕は事態の広がりとともに消えうせた。

「過去に予防接種の注射針の回し打ちが放置されていた問題と、実は根っこでつながっていないか」。
西村常任幹事は今回の問題に行政の内部に横たわる肝炎に対する意識の低さを感じ取る。

平成20年5月31日付「中国新聞城戸収、和田木建史記者記事」から

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