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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会血液事業部会運営委員会
バクスター、バイエル薬品 血液製剤投与による抗体発生例を報告

バクスターは7月25日、同運営委員会で血液製剤の「リコネイト」(一般名=ルリオクトコグアルファ)の使用によるインヒビターの発生を、89例確認していると報告した。

インヒビターは、血友病患者に遺伝子組み換え第8因子製剤を投与することで血中に発生する可能性のある抗体で、血液を固まりにくくする特性を持つ。

バクスターのリコネイトは、1992年に世界最初の遺伝子組替え第8因子製剤として承認され、国内では96年に承認、発売された。
同社は、93年から2002年の10年間に、世界で同剤約65億単位が使用され、89例のインヒビター発生を碓認していると報告した。

また、バイエル薬品も遺伝子組み換え第8因子製剤の「コージネイトFS」(一般名=オクトコグアルファ)によるインヒビターの発生例を報告した。
国内の市販後使用成績調査で、631例のデータ収集を完了しており、そのうち7例でインヒビターが発生していた。
なお、コージネイトFSは現在、販売されていない。

平成18年7月27日付「日刊薬業」から

血友病治療においてインヒビター発生によるその患者の治療・生活が厳しいことは、科学の発達の中で普通の血友病患者との乖離は大きい。

近年、遺伝子組み換え製剤の普及とともに、世界の患者会でもインヒビターの発生が多いのではという懸念が大きくなっている。
今年5月の世界血友病連盟(WFH)の大会(バンクーバー大会)でももっとも重要なテーマになった。
ドイツやフランス等からの研究者からもインヒビター発生増(20~30%)についての報告もあり、日本でも昨年から国による本格的調査を望む声が出て来ており、東京・大阪HIV訴訟原告団からも厚生労働大臣への統一要望にこの点が盛られている。

これまで「インヒビター発生はしょうがない」と、血友病の宿命みたいなあきらめがあったように感じていたが、数%の発生自体もその人の生活レベルを大きく低下させる観点から、放置は許されない。
まして10~30%発生率という数字が表面化してくれば、健康被害もしくは薬害とも言え、国として対策を立てないままでの放置は断じて許されるわけもない。

インヒビターを獲得した患者・家族にとっては治療の無い暗黒の血友病時代に陥れられることになり、この懸念は血液事業部会でも取り上げ、国として検討していくことになった。また、インヒビター発生の対象患者は副作用被害として医薬品医療機器総合機構に健康被害救済申請をすることに国や機構も考慮するとの意向を示している。
今後、世界の動きや我が国でも10月の血液事業部会運営委員会などで、副作用のないさらに安全な製剤の供給や治療法の開発が要望されてくるだろう。

7月25日の運営委員会でバイエル薬品の代表者は、インヒビターを獲得してしまった患者と家族の甚大な苦労の理解を示し、更に安全性を得るための治療薬の改善等々についての認識を述べた。

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