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第2回 なかむらしんいちろうさん
インタビュー

インタ ビュー第2回 
なかむらしんいちろうさん【Nakamura Shinichiro】
絵本作家、イラストレーター

中村真一郎(なかむら・しんいちろう)。
1972年、東京生まれ、横須賀育ち。
絵本作家、イラストレーター。
大学では教育学を専攻。
しかし、中村さんにとっては、あまりに学問的すぎる大学の授業は満足できるものではなかった。
「学問としては面白いけど、実際の教育現場ではちょっと無理だろうなあ」。
教科書に縛られた学校教育に関心がわかなかった中村さんは、いつの頃からか、幼児教育のように、実際に子どもと触れ合いながら、自由に、自分の考えで教えたいと思うようになっていった。
二回目のインタビューは、絵本作家、イラストレーターのなかむらしんいちろうさん。
絵本との出会い、絵本作家のデビューについて語ってくれました。
~子どもたちに何かを伝えたい~絵本との出会い
子どもに関われる仕事
「大学を中退したんです。父親はサラリーマンで仕事をきちっとやる人だったので、けっこうもめました。中退後、日本児童教育専門学校の児童文学専門課程に入学したんですが、そこに絵本を勉強できるコースがあって、入ったら絵本にはまっちゃって。子どもたちに何かを伝えたいと思いながら教育の勉強をしていたことがあったので、間接的だけど、こういうことで子どもに関われる仕事があるんだなあと」
心に何かを残す仕事
「絵本は、子どもの頃に読んだだけだったんですよ。でも、学校の図書室にあった絵本を読んだとき、20年ぶりくらいにその絵本を読んだはずなのに、その色使いや主人公の住んでいる家の屋根の形とかをまざまざと覚えていて。ひょっとしたら、絵本作家というのは、それを読んだ人の心に何かを残す仕事なのかもしれないとそのとき思ったんです。そのとき、絵本という、とても素晴らしいものに出会えたと感じましたね」

「でも、絵は小さい頃から上手くなかったんですよ、好きだったんですけど。小さい頃、上手く描けないから、紙を破っちゃっていたそうなんです。泣きながら、『もうやめる!』って。でも、親がそれを裏からテープで止めて取っておいてくれたんですよ。新聞のチラシの裏に描いた絵を厚紙を表紙にして、スクラップに綴じておいてくれて。それは、今でも時折り見ますね」

頭の中のイメージを誰かに絵で伝えたい
「絵本の専門学校は出たんですけど、相変わらず絵が下手なのは変わらなくて(笑)。頭の中のイメージを誰かに絵で伝えたいのに技術がともなわなくて。伝えたいものが表現できない事がもどかしくって。そのときはじめて絵が上手くなりたい、ちゃんと勉強しようと思って、武蔵野美術学園という美術学校に入り直したんです。同級生には16,7歳の女の子や80歳くらいの元気なおばあちゃん、あるいは定年を迎えた男性の方や子育てを終えた主婦の方とか、本当に絵が好きな人たちがたくさんいて。自分の両親と同じくらいの方がいて、両親には相談できないことなんかも相談できて、逆にその方には『絵本なんて儲からないでしょ、食べていけるの?』とか言われたり(笑)。学校では、日本画を学びました。日本画の歴史を含め大切なものを教わりました。今描いている絵本は日本画っぽくないんですけど、線の大切さとか、どこかに生きてくるんでしょうね」

~中村さんの絵本作家のデビュー~
血友病とともに生きる人のための委員会が発行した『こどものための血友病ハンドブック こんなときどうする?』(右写真)。
血友病の子どもたちのために描かれたこの絵本が、中村さんの絵本作家のデビュー作となった。


 

これは絶対にやりたい
「絵本というのは基本的に文章と絵を書く人が分かれているんです。もちろん両方やる人もいるんですけど、絵と文両方の才能を持っている人は少ないので、それぞれの人の間を編集者が取り持って共同作業で作っていく形が多いです。今回の『こどものための血友病ハンドブック こんなときどうする?』という絵本は、絵本コーディネーターの田中尚人さんからプレゼンがあって、『中村君の絵を使ってみたいんだけど、どう? とても子どもたちに役立つ本だよ』といわれて、これは絶対にやりたいと思って。

プレゼント-大人たちから、血友病の子どもたちへ
「普通、絵本のサイズって出版社によって紙の種類や本の大きさが決まっているんことが多いんですけど、田中さんたちは、まず紙選びから初めたんですよ。何をやる気なんだろうと思っていたら、普通の紙だと指が切れて危ないから厚紙を使おうとか、角は丸くしようとか、血友病の子どものことを第一に考えて作っていたんです。だから、この絵本は血友病の子どもたちへの、大人たちからのプレゼントなんだと思いながら描きました。2月の血友病のシンポジウムにも出させていただいたんですけど、血友病の子どもたちってどんな子かなあと思っていたら、みんな元気で。この絵本には、テキストや絵のなかで子どもが痛がっているシーンが多くて、だから表紙のイラストには、『扉を明けて、外へ遊びに行こうよ』というメッセージをこめたんです。そういった訳で表紙はジャングルの絵になったんですよ」

子どもと直接触れ合いたい
「僕の場合は今年の3月から絵画教室で子どもたちに絵を教えています。もともと教育の勉強をしていたこともあって、子どもと直接触れ合いたいというのはあったんですけど、先生と生徒とかいう関係ではなくて、もっと楽しんでやれる関係でやりたくて。それに、絵本は間接的だから、子どもが読んでいる姿が見えないんですよ。だからこの絵画教室は貴重な時間ですね。週に3回、幼稚園から中学生まで、20人くらいの子どもたちに教えているんですけど、子どもたちの絵がのびのびと自由な発想で描かれていて、久しく忘れていたものを思い出せてくれますね。教えているというよりも、逆にいいものをもらっているという感じです」

元気な子どもたちの笑顔を
「絵本だけで生計を立てているわけではなく、イラストの仕事をしたり、絵画教室で絵を教えたり。土日に絵を描いて、平日は普通に働いている人もいます。今活躍している絵本作家の人でも、そういう人はいっぱいいるんですよ。まあ、多少儲からなくても、普通に生きていますから(笑)。どんな仕事でも人のためにやりたいというのがありますよね。特に僕の場合、子どものために何かをしてあげたい。つらい顔よりも笑顔にしてあげたいなあって。だから、今回の絵本の仕事はとても良かったなあ。あんな元気な子どもたちの笑顔を見ることができましたから。絵を描くという形で絵本のプロジェクトに参加できて嬉しく思いました。でもそのためのこうしたインタビューは緊張してしまいますね」

●Paper Clown 社 グループ展●
2004年11月25日(木)~30日(火)
AM12:00~PM8:00

Paper Clown 社は、なかむらさんの同級生4人で作った架空の会社で、絵本サークルです。
毎年グループ展を開催しています。
7回目を迎える今年は、「旅」をテーマに吉祥寺の「にじ画廊」にて開催。
ぜひお越しください。

住所:武蔵野市吉祥寺本町2-2-10
電話:0422-21-2177
◆なかむらさんのホームページ◆
http://www5f.biglobe.ne.jp/~bookmako/

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