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HIV感染者が免疫機能障害として、身体障害者認定を受けるまでの経緯をご存知ですか?

HIV感染者は、様々な理由から差別偏見を受けてきました。しかし、薬害HIV感染被害者は、HIV感染症を社会防衛の対象から社会福祉の対象とすることを目指し、恒久対策の一つに、HIV感染者を身体障害者として障害者として認定することを求めてきました。

なぜ身体障害者認定を求めたのか、そして、それにはどのような経緯があったのか。それについてまとめましたので、ぜひご一読ください。

■1980年代のHIV感染者に対する差別偏見

この当時のHIV感染症に対する一般的なイメージは、「奇病」、「治療法がない」、「感染症」、「致死率70%」など、恐れを掻き立てるものがほとんどでした。

その結果、HIV感染者に対する差別偏見と社会的迫害が全国各地で起こりました。

●実際に起こった人権侵害
 長野県内の市立保育園の登園拒否
 高知事件:国、県、病院が関与してのエイズ差別の煽り
 松本事件:出稼ぎ外国人への差別
 神戸事件:患者の顔写真を週刊誌に掲載
 血友病児の父親が調理師を解雇される

■薬害エイズ裁判(1989-1996)で被害者が求めていたもの

エイズに対する偏見差別が解消されること
HIV感染者が社会生活上守られること

▼その頃、アメリカでは・・・
1990年に「障害を持つアメリカ人法(ADA法)」が制定され、HIV感染者が身体障害者として差別禁止など、福祉の対象となっていました。

▼一方、日本では・・・
・エイズ差別報道の中、被害者は救済すら口にできない
・感染原因を問わず、HIV感染者の苦しみ、命との闘いは同じ
・血友病患者以外の感染者は高額の治療費が必要

以上を踏まえ、薬害エイズ裁判での国に要求する救済策の1つとして、HIV感染症を社会防衛の対象から社会福祉の対象とすることを目指しました。そしてHIV感染症を内部疾患として身体障害者認定することを求め、HIV訴訟全面解決要求書に、恒久対策の1つとして「HIV感染者を障害者として認定すること」を盛り込みました。

■薬害HIV感染被害者の闘いがHIV感染者の身体障害者認定を実現させた

▼薬害HIV訴訟和解確認書
八、その他の恒久対策について
2.・・・HIV感染者の身体障害者認定等の、HIV感染症の医療体制及びこれに関連する問題については、厚生省において、原告らHIV感染者と協議する場を設ける。

これに基づいて、和解後原告団との協議が行われました。

▼第1回検討会(1997年5月1日)
障害認定に関する検討会。

▼第3回検討会(1997年7月15日)
中島座長がHIV感染者の障害者認定を、「カネをザルに捨てるようなもの」と、きわめて差別的な発言をし、患者、世論から激しい反発を受け、座長を辞することになりました。

▼第9回検討会(1997年12月25日)
「ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害に係る身体障害認定に関する検討会報告書」がまとまりました。

検討会報告書では、以下の3項目がまとめられました。

01.障害の重度化防止やHIV感染者の生活の質的向上の観点から福祉サービスを提供することが有効である。
02.HIV感染者は、最近の医学の進歩により、日常生活の制限を受けながら長期間生存するケースが増加していること。
03.HIV感染者は、身体障害者福祉法の趣旨に合致すること。

そして、1998年4月より、身体障害者認定を受けられることになった。これにより、HIV感染者は社会防衛の対象から、社会福祉の対象となりました。

平成22年3月31日現在、「ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害」による身体障害者手帳の交付者の総数は10,294名で、HIV感染者の3人に2人が免疫機能障害者として認定を受けています。

最後に、平成21年10月5日に、はばたき福祉事業団が主催した「HIV感染者就労のための協働シンポジウム」のプログラムに記載した免疫機能障害の身体障害者の沿革をまとめとして掲載いたします。

■免疫機能障害の身体障害者の沿革

 身体障害者福祉法により1998年4月から、HIV感染者は「免疫機能障害」として身体障害者認定を受け、身体障害者手帳の交付を受けることが出来るようになりました。これは薬害エイズ訴訟の和解の恒久対策の一環として定められました。
 和解成立前の和解協議の頃から、医療、介護、雇用のために、原告はHIV感染者の身体障害者認定を求め、検討会などで協議を重ねてきました。厚生省の基本方針も前向きに検討するということでもあり、また社会防衛の対象から社会福祉の対象として、疾患のイメージを変えることでHIV/AIDSに対する差別・偏見を解消し、社会参加の大きなパスポートにすることに力を注ぎました。
 1998年1月19日付けで身体障害者福祉法施行令の一部改正の政令が公布され、新たにHIV感染者の身障者認定が創設され、4月1日から施行されました。これによってHIV感染者は「ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害」で身体障害者手帳が交付され、社会福祉の対象となりました。
 はばたき福祉事業団としては、求めて実現した免疫機能障害の手帳の活用状況、その中でも、特にHIV感染者の就労に寄与しているかに関心を持っています。

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