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【古い記事を拾って】東京新聞社説― エイズ感染 油断が増加を招いた

新規のエイズ原因ウイルス(HIV)感染者やエイズ患者数の合計が5年連続して最多記録を更新しているのは、エイズの怖さを忘れたためではないか。
啓発活動や予防活動をおろそかにしてはならない。

厚生労働省の集計によると、平成19年1年間に国内で確認された新規の感染者は1048人、エイズ患者は400人で、併せて1448人(内男性が9割)。
平成15年の976人以来、増え続けている。
これまでの累計では感染者の23%、患者の22%が外国人だが、最近では患者、感染者とも圧倒的に日本人が多い。
例えば昨年10月から3ヵ月間の感染者・患者数の9割を日本人が占め、感染地域別でも9割が国内感染である。

これから浮かび上がるのは、日本人の国内での感染が急増しているということだ。
この事実を厚労省はもっと国民に知らせる必要がある。

日本赤十字社の献血事業で献血者のうち感染を示す抗体陽性者が昨年102人を記録し、陽性率は献血者10万人当たり2.07件と2年連続増えた。
一般の人に着実に感染が広がっている表れだろう。

半面、エイズへの関心は薄れているようだ。
最近の感染者のうち半数は保健所などでの無料検査で判明しているが、残り半数は医療機関での受診の際に初めて見つかっている。

新規感染者は男性同性間の性的接触による場合が異性間性的接触によるよりもはるかに多いが、新規患者ではほぼ同数になる。

このことは、男性同性愛者は仲間同士で検査を受けるよう積極的に啓発活動を行っているので感染した直後にわかるのに対し、それ以外ではエイズに関する情報に接する機会が少なく、感染しても気がつかずに放置していてエイズを発症して始めて受診していることを示している。

こうした現状を踏まえるなら、若い世代を中心に学校や地域でエイズに関する知識や予防法を普及させる啓発活動を強める必要がある。

エイズは感染しても発症までに長期間かかるため、その間に配偶者などへ二次感染させる恐れがある。
防止するには感染の早期発見が重要で、検査を受けやすい態勢づくりが不可欠だが、保健所などでの休日・夜間の無料検査体制は全国的にはまだ十分に整備されていない。
その充実も急ぐべきだ。

新規の感染者・患者の増加率は近年、首都圏以外でも高まっている。
地方の自治体にもエイズの危機意識を共有してもらいたい。

エイズは治療法が進歩したとはいえ、完治するわけではない。

それを忘れないようにしたい。

平成20年3月2日付「東京新聞」より

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