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浜松の2病院、院内感染防止目的でHIV検査費を患者に全額負担させる。HIV医療の指針無視

【HIV】
≪浜松の2病院 院内感染防止目的のHIV検査費 患者3万5千人に返金≫

 聖隷三方原病院と聖隷浜松病院(いずれも浜松市)が、手術を受ける患者らに、求めがなくてもエイズ原因ウイルス(HIV)感染を調べる検査をし、一部の患者に検査費用全額を負担させていたことが分かった。
 医師らへの院内感染防止が目的といい、厚生労働省はこうした場合は「病院負担が望ましい」としている。
 両病院は「不適切だった」として、約3万5千人の患者に計6千万円以上を返金する。
 厚労省や医療関係者によると、手術前の患者には感染症対策として肝炎などの検査をすることが一般的で、公的医療保険も適用される。
 一方で、手術前のHIV検査は増えているとみられるが、厚労省は「患者の感染を疑ってではなく院内感染防止が目的の場合、保険給付の対象とすることは適当ではない」としている。
 両病院によると、HIV検査は出血を伴う手術を受ける患者らに実施。1999年以降だけで延べ約3万5千人に全額を負担させていた。浜松病院は1回につき税込みで1260~1990円を、三方原病院では2100円を、徴収していたという。
 手術前のHIV検査について、静岡県では「大量出血を伴う手術を受ける患者」などに限って一部、保険適用が認められている。
 両病院が全額負担を求めたのは保険が適用されない軽微な手術の患者だったとみられる。
浜松病院は朝日新聞の取材に「全額を病院が支払うのでは巨額の負担になる」としたが、両病院とも「病院が負担するべきだった」と説明した。

 また、厚労省は通知で、HIV検査について「人権保護の観点から、本人の同意を得て実施すること」として、院内感染防止を目的とした場合でも患者の同意が必要と定めている。
 HIV検査について両病院は手術の同意をとる書類に記述していたが、その他の項目と一括して同意を得ていた。
 三方原病院は「不十分と言われることそうかもしれない」と説明。両病院とも今は、保険が適用されない患者はHIV検査を取りやめ、検査をする場合も手術同意書とは別の書類で同意を取る方式に変えたという。
 両病院とも検査で感染が判明した場合には患者に通知し、治療する方針という。

 聖隷福祉事業団が運営する系列病院では、聖隷横浜病院(横浜市)で、今年1月、厚労省関東甲信越厚生局の調査で、ほぼすべての患者に検査を実施し、費用を全額負担させていたことが発覚。同病院は過去3年間に費用を徴収した約5千人の患者に返金を進めている。

「保険適用求める声も」 HIV感染症が専門で、職業感染制御研究会顧問の木村哲・東京逓信病院長によると、ほとんどの医療機関が手術前にHIV検査を実施しており、病院側が費用負担しているという。「医療従事者の安全を確保するための検査なのだから、病院側が費用を負担することが望ましい」
HIVに感染していても、潜伏期は数年に及び、検査しないと感染の確認は難しい。
海外では、患者の血液からHIV感染した医療従事者は約300人に上るとの報告もあり、木村院長は「肝炎や梅毒検査が求められ、HIVは認めないというのは制度上おかしく、本来保険でカバーされるべきだ」と指摘する。
現場の医師からも「保険適用すべきだ」との声が上がる。関西地方の医師は「感染予防の観点から肝炎と同じにすべきだ」、関東地方の医師は「病院に出入りする全員のための検査。現実には多くの病院が患者負担で検査をしている」と訴える。

「患者の承諾前提」
 中央社会保険医療協議会委員勝村久司さんの話 医療従事者への感染予防は病院側が本来備えるべき安全対策の問題で、患者に自己負担させていたのはおかしい。
借りに患者が検査を承諾していなかったら過剰医療に当たる。検査費用に保険を適用してほしいという意見については、「患者の承諾を得て患者のために検査をする」ことが大前提となる。検査の意味についてきちんと説明すべきだ。

(平成22年10月20日付 「朝日新聞」から)

※‘簡単に取り決めは破られる。規制当局は何してる!’HIV感染症患者について、発生当初から偏見・差別の人権上の配慮からから、原則同意なきHIV検査は規制されている。
患者の意思を無視した医療の父権主義的な体制を改め、患者の人権とそれに則した良質な医療提供がHIV医療の根幹である。
 それを医療者の独自の判断が専行されることに、患者中心の医療の形骸化、また薬害エイズ事件の教訓無視など、HIV医療の根幹を忘れる現況に憂慮する。
厚生労働省の担当当局が規制監視の役目が行き届いておらず、またHIV医療の専門家のコメントにも失望する。
 説明と同意の原則をすぐ忘れるのか、信頼を失う。
 まずは、未だいちばん強く偏見・差別があると指摘されている、医療機関、医療者のHIV偏見・差別を払拭してから、こうしたコメントをすべきだ。
 もっと足元の教育をしっかりせよと言いたい。患者の権利はこういったところから破られる。患者不在の医療が蔓延していく典型だ。

≪検査費患者負担 「無理があった」 聖隷2病院が会見≫
 聖隷三方原病院と聖隷浜松病院(いずれも浜松市)が、手術前のエイズ原因ウイルス(HIV)検査
の費用の全額を述べ3万5千人の患者に負担させていた問題で、両病院が10月20日、合同で記
者会見した。
 三方原病院の荻野和功院長は「判断に無理があった。反省している」と述べた。
両病院は今月中に対象者に返金を知らせる手紙を出し、約6200万円の返還を始めるという。
                        (平成22年10月21日付  「朝日新聞」より)

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