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【HIV】エイズとの闘い、新たな見識必要 HIV発見から25年

フランス・パリ(Paris)で、5月19日、エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)の病原体であるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)発見から25年を記念して、HIV/AIDSの国際シンポジウムが開催された。

出席した専門家は、HIV/AIDSに関する医学的進歩を振り返り、エイズとの闘いを活性化させるには、新しい考え方や若い才能、資金投入が必要だとの見解を示した。

これまでの歴史を振り返って

最前線にいる専門家は、エイズとの闘いでこれまでにいくつかの目覚ましい成功があったとし、1990年代半ばの迅速なエイズ病原体の特定と、三剤混合薬の開発を称賛。

これにより死を宣告されたも同然だったエイズが、管理可能なものとなった。

一方、世界的流行を食い止める唯一の方法であるワクチン開発や、女性をHIV感染から保護するための膣用ジェル剤の研究などにおけるつらい失敗もあり、これらの失敗は、形状が変化し、免疫細胞にひそかに侵入するというHIVの特性について、基本的な問題が解決していないことを示しているという。

米国のロバート・ギャロ(Robert Gallo)博士とともにHIVをエイズの病原体と特定したフランスのリュック・モンタニエ(Luc Montagnier)博士は、「HIVの形状は多様で、われわれが考えていたよりも複雑であり、われわれは依然として完全にはそれを理解していない」と語った。

また、フランスの国立エイズ研究機関(ANRS)のJean-Francois Delfraissy所長は、「基礎研究の問題に立ち返り、新たな考え方と研究チームを取り入れ、細胞生物学における新たな見識が必要」との考えを示した。

<歴史から第一次世界大戦の犠牲者数を上回る死者を出したエイズとの闘いの25年>

エイズ原因ウイルス(HIV)の発見から25周年という節目を迎えた。

第一次世界大戦の犠牲者数を上回る死者を出したエイズとの闘いの25年は、科学と人類の精神力の勝利を示す反面で、病気への偏見や無知との闘いでもあった。

免疫システムの機能を低下させるこの謎の疾患は、1981年に米国の同性愛者の間で発症者が発見されたことから、英国大衆紙が「ゲイ病」と書き立てた。

1983年5月20日、仏パスツール研究所(Pasteur Institute)のリュック・モンタニエ博士が主導する研究チームが、世界で初めてエイズで死亡した患者の病原菌ウイルスを発見したとの論文を、米科学誌「サイエンス(Science)」に発表した。

これに続き、米国のロバート・ギャロ博士が、モンタニエ博士が発見したウイルスが後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因であることを確認。

この疾患の謎を解く鍵がついに発見された。

しかし、真のエイズ発見者はどちらかをめぐるモンタニエ、ギャロ両博士の争いが勃発、結局3年後、エイズ発見者の栄誉を両博士が分け合うことで決着した。

謎の病原菌の実態がこれほど早く解明されることはまれで、エイズ撲滅の機運は一気に高まり、エイズ撲滅への道も順調に進むと思われた。

1984年4月、ギャロ博士が最初のウイルス発見者と主張したとき、マーガレット・へブラー(Margaret Heckler)米厚生長官(当時)は「ギャロ氏のエイズウイルス発見は、この恐ろしい病気に科学的に勝利したことを意味する」と語り、ワクチンが2年以内に完成する可能性もあるとの希望を語った。

だが、その時点で希望的観測を語るのはあまりに時期が早すぎた。

この時点でのエイズによる死者はわずか3000人だったが、25年経過した今、エイズによる死者数は男女含めて2500万人、HIV感染者は3300万人と膨れ上がっている。

また、1100万人以上の子供たちが両親か、片親をエイズで失った。

フランスの医学者、Olivier Schwartz氏は「この25年間、医学界はエイズの解明において多くの間違いを犯してきた」と悔やむ。

しかし、医学研究所の研究が、これまで不治の病とされたエイズの治療に光明をもたらしてきた。

だが、エイズの原因ウイルス、HIVは既存の病原菌の中で最も不可解なもので突然変異を起こしやすいところから、有効なワクチンはまだ開発されていない。

21世紀になった現在も、最も有効なエイズ防止策は19世紀に開発されたコンドームの使用か、もしくは一生、性行為を慎むことしかない。

政治家や宗教指導者、それに伴い一般大衆がエイズをタブー視してきたことも、病の究明には致命的な遅れをもたらし、エイズ感染を拡大させた一面も否めない。

平成20年5月20日付「仏AFP/Richard Ingham」から

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