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【血友病】黒人の血友病患者における第Ⅷ因子インヒビター

黒人の血友病患者では、白人患者に比べ、第Ⅷ因子療法により抗体が形成される可能性が高く、その要因などについて、現在の遺伝子組換え製剤などが白人の第Ⅷ因子蛋白を基本に作られているところから、患者の地理的起源などの問題が下記の論文で紹介されている。

・背景
黒人の血友病A(第Ⅷ因子欠乏)患者では、補充療法として投与された第Ⅷ因子タンパクに対してインヒビターが産生される確率が、白人患者の2倍である。
野生型第Ⅷ因子蛋白にはH1からH6までの6種類が存在するが、臨床で使用されている組換え型(リコンビナント)第Ⅷ因子製剤と一致するのは2種類(H1とH2)のみである。
H1とH2はあらゆる人種で見られるが、白人でこれまでに認められている第Ⅷ因子蛋白はH1とH2のみである。
H3、H4、H5は黒人でのみ認められている。
黒人患者におけるインヒビターの発現率の高さには、不一致第Ⅷ因子の投与に寄与しているという仮説を立てた。

・方法
血友病の原因変異とその背景にあるハブロタイプの同定を目的として、黒人の血友病A患者の第Ⅷ因子遺伝子(F8)の配列決定を行った。
患者のカルテから、過去に行われたベセスダ法の結果と、ベースラインにおける血友病の重症度、登録時の年齢、対象患者間の生物学的関連に関する情報を入手した。
多変量ロジスティック回帰分析を用いて交路の可能性があるこれらの因子について補正し、F8のハブロタイプとインヒビターの発現との関連について検定を行った。

・結果
検討した黒人の血友病患者78例のうち、24%では背景となるハブロタイプはH3またはH4であった。
この2つのいずれかを有する患者では、H1またはH2のハブロタイプを有する患者と血友病の原因変異スペクトルおよび重症度が同等であるにもかかわらず、インヒビターの保有率はより高かった(オッズ比3.6、95%信頼区間1.1~12.3、P=0.04)。

・結論
これらの予備的結果から、不一致第Ⅷ因子による補充療法が、抗第Ⅷ因子アロ抗体発現の危険因子である可能性が示唆される。

[Inhibitors of FactorⅧ in Black Patients with Hemophilia by K.R.Viel and others] 2009年4月16日 Vol.360 NO.16「the NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICIN」から

※遺伝子組替え製剤について、基本的には白人の第Ⅷ因子蛋白形からつくられているとのことも聞いていた。
日本人向けのものが必要ではとの専門家からの指摘もあった。
20-25%のインヒビター発現の情報もあり、インヒビター発現のリスクをなくした徹底した安全性重視の製剤提供が必要だ。
黒人の血友病患者に対する安全性軽視ではとの疑いも持てる。
日本でも日本人の特性に合わせた製剤管理となっているのか調べたい。

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