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あなたの肝臓の調子はいかがですか?~医療相談会 秋田で開催~

開催日:平成16年8月7日(土)
会場:秋田大学医学部基礎研究棟1階 第1会議室




近年、HIV感染症のHAARTと呼ばれる抗HIV療法は、飛躍的な進歩を遂げ、もはやHIV感染症も治療コントロールが可能な慢性疾患の病気であるとも言われるようになりました。
しかし、HIV感染血友病患者の90数パーセントを超える方々はHCV感染症にも罹患していると言われ、日頃の抗HIV治療による肝臓へのダメージも手伝って、私たちの間ではHIV関連死よりも肝炎の悪化による死亡者数が増えてきております。
まさにC型肝炎問題が深刻な状況となって来ました。
東北支部(はばたき福祉事業団/大阪HIV訴訟原告団合同)では、こういった事態から平成16年3月27日仙台において、ACC、国立仙台病院(現:独立行政法人国立病院機構仙台医療センター)の全面協力を得て、東北HIV/HCV重複感染症医療講演会を実施しました。そして、本年度もこの問題を私たちの事業の重要課題と捉え、同年8月7日、エイズ拠点病院でもある秋田大学病院の医療者をはじめ、多くの方々の多大なるご支援・ご協力を頂きながら、HIV/HCV重複感染症に関わる医療講演を秋田県で開催致しました。

講演概要
「HIV治療最前線/副作用」
各抗HIV薬(NRTI、NNRTI、PI)を組み合わせた治療には、長短期治療にかかわらず特有の脂質代謝異常・糖代謝異常・中枢神経異常、骨密度異常、肝障害等の副作用が伴う。また生活習慣病のような大小様々な症状や合併症が現れる。そのため定期的な検査を受け、各症状に対する治療や生活習慣の改善が必要であるが、場合によっては薬剤の組み合わせ変更を考える必要もある。抗HIV薬剤の耐性問題では服薬アドヒアランスを常に良好に継続していくことが重要なポイントである。
最新HIV治療ガイドラインや国際エイズ会議に見る抗HIV療法の動向では、一日一回という服薬しやすい組み合わせへと進展が見られるようになった。日本でも抗HIV薬<アタザナビル(PI)/テノフォビル(ヌクレオタイド系)>が新たに承認され、組み合わせによっては、服薬アドヒアランスやQOLを向上させることが可能となった。

「肝臓治療に関わるチーム医療と消化器内科・外科のアプローチ」
抗HIV薬による薬剤性肝障害では、PI、NRTI(ミトコンドリア障害)、NNRTI(NVPによる肝重症例)が肝臓にダメージを与えている。さらにHCV単独感染患者よりもHIV/HCV重複感染患者はHCVウイルス量が5倍から10倍と多く、肝硬変、肝ガンへの進行も速い。

一方、肝臓機能低下が進行するに従って抗HIV療法が行いにくいなどの悪影響も生じる。C型肝炎治療としてはIFNとリバビリンの併用療法が主流となって来ているが、抗HIV薬と同じような副作用症状が出ることがある。

HIV/HCV重複感染患者の治療にあたっては、HIV診療チームとHCV診療チーム(消化器内科・消化器外科・手術室)の合同診療体制の下、HIV治療と併せて肝炎治療を進めていくことが重要である。

消化器内科・外科の治療では、先ずC型肝炎の慢性期の治療として、初回、再治療と各患者の年齢やHCV-RNA量・遺伝子型に応じてIFN+リバビリン等<副作用(自・他覚症状、検査所見異常)>の治療をしており、その効果は以前より改善されて来ている。
肝硬変・肝ガンの発症や進行を把握するためには、定期的な血液検査(血球・血小板・GOT・GPT・総ビリルビン・アルブミン/腫瘍マーカー:AFP・AFPL3分画・PIVKA?)、画像検査(腹部エコー・CT・MRI)や内視鏡検査(静脈瘤の有無確認)による経過観察をして行く事が重要である。
肝硬変に伴う合併症では食道静脈瘤・腹水・肝性脳症等が現れてくる。

食道静脈瘤治療としては、内視鏡的硬化療法や内視鏡的結紮療法等がある。
また、ガン発症後の治療としては、適応診断基準に応じて、肝切除、肝動脈塞栓療法、経皮的エタノール注入療法、マイクロ波/ラジオ波凝固療法、リザーバー動注療法等が行われる。

主に肝切除などの外科的治療では、患者の身体的負担(リスク)を軽減するための腹腔鏡下肝部分切除や肝臓の再生能力を活かした術前の門脈塞栓療法を用いた切除、大量の出血には無血肝冷却灌流下肝切除(冷やしながら切る)を施す等の工夫を行っている。肝臓の障害度は軽いほど術後の回復も早く在院日数も短い。HIV/HCV重複患者の臨床経験は未だないが、これまで肝移植を希望されたHCV単独感染患者等は京都大学や患者の希望する病院を紹介している。

肝臓は沈黙の臓器。ゆえに・・・
肝臓は沈黙の臓器と言われています。
故に肝臓に関連した自覚症状が出るまで肝臓の異常に気が付かず過ごされている方が多くいると思われます。また、C型肝炎ウイルスに感染しているとわかっていても各個人の諸事情も手伝って定期的な検査や治療を怠り、結果的に取り返しのつかない状態になることもあります。

当講演会では、自分の肝臓を良好に維持して行くための早期発見、早期治療が最も大事なことであり、そのための各種定期検査が如何に大事であるかを参加された方々と一緒に共感する機会となりました。

また、秋田県では、秋田HIV治療研究会(地元の3拠点病院と複数の協力病院)が昨年に発足され、HIV治療に関わる医師、看護師、エイズ対策の行政担当者の方々もこの会に参加されました。そして今回、患者側にも分かりやすいお話をして頂いた消化器内科・外科両医師も新たに加わって頂き、この会を通じてHIV/HCVチーム医療体制や地域治療連携、そして医療者・患者間の信頼関係も新たに生まれ、その関係が強く結ばれたものと確信します。

繰り返しになりますが、肝臓が沈黙の臓器と言われるが故に定期的な検査と必要に応じた治療を積極的にしていくことが私たちの安心に繋がるものと信じます。

最後に、この会に最後まで心温まるご支援・ご協力を頂きました各医療関係者を始めとする皆様には、この場をお借りして大変感謝申し上げます。

はばたき福祉事業団・大阪HIV訴訟原告団 東北支部

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