トップページ > 血液 > 血液製剤
「ファイバ」がインヒビター力価の高低にかかわらず使用可に
リコンビナント製剤登場により増加しているインヒビターについて厚生労働省も調査を開始

バクスター社、血友病インヒビター保有患者治療薬「ファイバ」(血漿由来製剤)の効能・効果の変更が5月22日承認。

これまでは、ファイバ使用は、血液凝固第8因子または第9因子インヒビター力価が10ベセズダ単位以上の患者に限られていた。

今回の承認で、インヒビター力価の高低にかかわらず使用ができることになった。

これからは、ファイバの効能・効果は、「血液凝固第8因子または第9因子インヒビターを保有する患者に対し、血漿中の血液凝固活性を補いその出血を抑制する」となる。

平成18年5月25日付「日刊薬業」より

血友病患者にとってインヒビターができることは、血液凝固因子製剤による効果的な治療が困難な状態になり、生涯を左右する深刻な問題となる。

血友病治療過程でインヒビターが生じる人がいて、これまで血漿由来の製剤を使っていた血友病患者の数%~10%の患者に発生しているとの発表があった。
しかし、遺伝子組み替え製剤(リコンビナント製剤)が登場してから25~35%の患者に発生しているとの発表が有り、厚生労働省も患者からの危惧の訴えの下に調査を開始した。
この事態は、世界血友病連盟(WFH)などでも深刻に捉えている。

インヒビター力価が高いと、普通の凝固因子製剤での治療コントロールは不可能な状態になる。
そういう人たちのために、バイパス製剤としての特別な製剤があるが、バクスター社のファイバは治療効果が高いといわれているが、使用の制限があった。

今回は、使用制限が撤廃されたことになる。
ただし、ファイバなどのインヒビター治療製剤の薬価は驚くほど高い。
そして、インヒビター症例が増えている一方で、インヒビター治療製剤は少ない。
国産の製剤(日本製薬のPPSB)は製造を打ち切り、輸入製剤でもオートプレックスも製造されなくなった。

インヒビターを持つ人が増えるとその治療の困難性と専門的な医療が必要となり、また治療薬が極めて高額となる重大な問題が提起される。
リコンビナント製剤導入時点で懸念されていたことから、国の薬事行政として、リスク管理、そして個々の患者が生活をしている視点から重大なダメージを可能な限り排除する迅速な対応が求められる。

なお、5月カナダの世界血友病連盟(WFH)会議での発表から、インヒビター治療として大量の凝固因子製剤を輸注してインヒビターを凌駕する免疫寛容療法(ITI)が世界規模で治験が行われている実績の紹介があり、使われる凝固因子製剤での効果順位が、血漿由来フォンビレブランド因子付き製剤>血漿由来製剤>リコンビナント製剤であった。

インヒビター発生率は逆で、血漿由来フォンビレブランド因子付き製剤<血漿由来製剤<リコンビナント製剤だった。
改めて、インヒビター発生は、その患者への生涯ダメージは極めて大きいことから、被害救済も視野に考えていく問題である。
(大平勝美)

▲このページ [ 「ファイバ」がインヒビター力価の高低にかかわらず使用可に
リコンビナント製剤登場により増加しているインヒビターについて厚生労働省も調査を開始 ] の先頭へ

▲1つ前のページに戻る
▲トップページへ戻る